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参議院選挙 論じられなかったことは何か

 日本政策研究センター月刊誌「明日への選択」8月号の記事です。

全文を本HPの ”月刊誌「明日への選択」のご紹介” ページに掲載していますので、ぜひお読みください。

 

 参議院選挙結果については、様々に論じられていますので管理人の私見は書きません。

 

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〇🔗参議院選挙 論じられなかったことは何か

 選挙結果を見て自公体制から多党制、つまり連立となるとの予測が強い。「自公政治から連合政治への転換点」(朝日・牧原出東大教授)という楽観的な見方もあるが、そうなれば「予算案や法案を通すための政策協力から連立の拡大まであらゆる手を尽くさねばならない」こととなり、その際、減税や給付といった「近視眼の選挙対策が交渉材料となりがち」(日経・佐藤理政治部長)となることは眼に見えている。

 

 問題は、連立ではそうした混迷のなかで重要な政治課題が見逃されがちとなることにある。国防など安保戦略であり、エネルギー戦略、社会保障といったまさに国家の基礎に関わる課題である。なかでも、台湾への軍事的威圧を強め、尖閣諸島での主権を脅かし、日本人を不当逮捕する中国にどう対峙するか、といった対中戦略での一致がなければ連立は直ちに行き詰まると言えよう。

 

 こうして見ると、今回の選挙はそうした重要課題がほとんど論じらなかったことに気づく。あまり報じられてはいないが、日本記者クラブでの討論で、立憲が主張する「安保法制の違憲部分の廃止」について、どこを廃止するのかと聞かれた立憲民主の野田氏は「政権をとったら検証する」と答えた。何とも無責任な話ではあるが、こんな政党に政権参画の資格はない。

 

 それだけに自民党に期待するのだが、今、危機感をもった議員や県連が「石破降ろし」を始めている(本稿執筆時)。一日も早く「日本を取り戻す」構想と政策をもった新総裁を選ぶことを期待したい。すべてはそこから始まる。(日本政策研究センター所長 岡田邦宏)