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吉田松陰 日本救国の天使 (7) 完

吉田松陰 日本救国の天使(7)

 

 人々を奮い立たせる不滅の魂

 

 野山獄に幽閉された松陰は次の歌を詠んでいます。

 

九重(ここのえ)の悩む御心(みこころ)思ほへば手にとる屠蘇(とそ)ものみえざるなり

 

孝明天皇の苦悩の御心を思えば、 屠蘇も呑むことができない。 これは処刑される その年の正月に詠んだ歌です 。

 

そして五月、 松陰は江戸に送られ、 処刑される直前、 「(りゅう)魂録(こんろく)」 を書き上げます。 その最後に記された歌です 。

 

 討たれたる吾れをあはれと見ん人は(きみ)(あが)めて(えびす)(はら)へよ

 

(なな)たびも生きかへりつつ(えびす)をぞ(はら)はんこころ吾れ忘れめや

 

私を哀れだと思う人は、 天皇陛下を尊崇して日本を侵略せんとする欧米列強を討 ち攘え。 私は何度も生れかわって、 楠木(くすのき)正成(まさしげ)のような忠臣となって日本を守るのだ。  松陰は尊皇攘夷の精神を村塾の弟子たちに死をもって教えたのです。

そうして十月二十七日、 辞世の歌を残すとともに、 漢詩を朗誦しながら従容とし て死についたのです。

 

 ()はたとひ武蔵(むさし)野辺(のべ)()ちぬとも(とど)()かまし大和(やまと)(だましい)

 

(われ)(いま)国の為に死す

死して(くん)(しん)(そむ)かず

悠々(ゆうゆう)たり天地(てんち)の事

(かん)(しょう)明神(みょうじん)()

 

自分の三十年の生涯は天皇陛下と両親にそむくことのない日本人としての誠の道 である。 天を仰ぎ地に

(hu)して恥ずることのない一生を神様は明らかにご覧になっている。 限りなく高く澄みきったりっばな境地です。

ともに万代に伝うべき絶唱です。

 

 幽囚謹慎の挫折に次ぐ挫折の生涯であったにもかかわらず、 松陰の不滅の魂―― 尊皇攘夷の精神と至誠に貫かれた魂の教育――が久坂玄瑞、 高杉晋作らを導き、 長州の尊皇攘夷、 尊皇倒幕運動を成就させ、 明治維新を達成させました。

 

弟子たちと後世の日本人を感奮させてやまぬ松陰の比類なき気高い魂、 稀有(けう)の至誠の人格。 私は神様が日本を救う為にこの世に下した天の使い、天使が吉田松陰だ と思います。 西郷隆盛と並ぶ明治維新を導いた最高の人物、 我が国の代表的偉人です。 私たちは今こそ吉田松陰に学んでいかなければなりません。